鼻腔、咽頭、喉頭、
気管支、肺を診療する科
呼吸器とは、鼻腔から肺までの呼吸に関係する器官のことを言います。呼吸器は大きく気道と肺に分類され、さらに気道の上半分にあたる鼻腔、咽頭、喉頭にあたる部分を上気道、気管から気管支、さらに細気管支に当たる部分を下気道になります。ちなみに気管支と細気管支は肺胞と共に肺に含まれる部分でもあります。
この気道と肺で発症したとされる症状や病気について診療していくのが呼吸器内科です。何らかの呼吸器疾患が疑われる患者さまには、問診や身体診察(視診、触診、聴診 等)を行うほか、診断をつけるための検査が必要となれば、酸素飽和度の測定(パルスオキシメーター)、血液検査、呼吸機能検査(スパイロメトリー 等)、胸部X線検査、喀痰検査などを行い、総合的に判断していきます。
- 呼吸器内科でみられる主な症状
- 咳、痰、息切れ、呼吸困難、チアノーゼ、喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒューの呼吸音)、胸痛、発熱 など
- 呼吸器内科の代表的な疾患
- 風邪、インフルエンザ、肺炎(市中肺炎)、間質性肺炎、気管支喘息、肺がん、COPD(慢性閉塞肺疾患)、睡眠時無呼吸症候群、気胸、肺水腫 など
主な呼吸器疾患
呼吸器の疾患については様々ありますが、気管支炎、慢性気管支炎、ぜんそく、肺がんなどがあります。
気管支炎
気管から分岐され、左右の肺につながっている部分が気管支です。その粘膜に炎症がみられている状態が気管支炎です。発症の原因は、何らかの病原体(ウイルス、細菌 等)に感染したことで発症することもあれば、アレルゲン(アレルギーの原因となる物質:花粉、ハウスダスト、食物 等)や喫煙等によって引き起こされることもあります。よく見受けられる症状は、咳・痰、喘鳴、喉の痛み、発熱などです。
また気管支炎は、急性と慢性に分けられます。急性の場合、多くはウイルスあるいは細菌感染によって発症することが多く、感染してから数日程度で上記の症状が現れるようになります。慢性は、気管支の炎症が長期的(数週間~数ヵ月)に続き、咳や痰が長期間に渡ってみられ、息苦しく感じることもあります。
ぜんそく
何らかの原因によって気道(気管、気管支)に炎症が起き、気道の粘膜が腫れるなどして狭窄するようになると呼吸がしにくくなるほか、気道そのものが過敏な状態になるなどして様々な症状がみられます。これをぜんそくと言います。主な症状は、喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音が聞こえる)、呼吸困難、発作的にみられる咳(夜間、明け方に多い)、胸が締め付けられる(胸痛)などです。なおぜんそくと同様に気道の炎症や過敏がみられるものの、喘鳴や呼吸困難の症状はなく、ただ慢性的に咳が出続ける(とくに夜間~早朝にかけて症状が悪化)ということもあります。この状態にあると、咳ぜんそくと診断されます。
発症の原因ですが、その大半はアレルゲン(花粉、ダニ、ハウスダスト、食物 等)によって引き起こされますが、喫煙、運動、過労・ストレス、風邪などの感染症、天候や気温の変化が発症のきっかけになることもあります。
肺がん
肺で発生した悪性腫瘍を肺がんと言います。がんは日本人の死因の第一位ですが、そのがんの中で最も死亡率が高いとされているのが肺がんです。50歳以上になると罹患率は上昇し、喫煙者は発症リスクが高くなります。なお非喫煙者であっても、肺がんを発症する可能性はあります。
肺がんは、大きく小細胞がんと非小細胞がんに分けられます。小細胞がんは増殖しやすいのが特徴で、病状も非小細胞がんと比較すると早く進行するので治療内容がほかの肺がんとは異なります。また非小細胞がんは、腺がん、扁平上皮がん、大細胞がん等に分けられますが、その中では腺がんの患者さまが多いです。
主な症状ですが、発症初期は症状が出にくいです。そのため発見されるケースというのは、健診やがん検診等で見つかることが大半です。喫煙歴のある方は定期的に肺がん検診を受けられるようにしてください。ある程度まで進行すると、咳・痰、血痰、息切れ、胸痛、背中の痛み、体重減少、食欲不振などがみられるようになります。
肺がんの疑いを調べる検査としては、胸部X線検査、胸部CT検査、喀痰細胞診があります。その結果、精密検査が必要となれば、生検(気管支鏡検査、経皮的針生検 等)が行われます。診断が確定すれば、病期(ステージ)がどの状態にあるかの検査もしていきます。