本人の意思だけでは難しい
禁煙治療

禁煙外来イメージ

喫煙を現在されており、禁煙を実践したいと考えている方を対象とした外来になります。

おそらく多くの方は禁煙をするしないは本人の意思次第と思うかもしれません。ちなみにタバコに含まれる有害物質であるニコチンは中毒性が高く、脳内(中枢神経)にあるニコチン性アセチルコリン受容体に肺から取り込んだニコチンが結合すると脳内でドーパミンが大量に放出されて強い快感が得られるようになります。しかし逆に体内でニコチンが切れるようになれば、喫煙したいという強い欲求に駆られる、イライラする、集中力が低下する、食欲が増進する、気分が落ち込むなどの症状がみられ、そのような症状を解消したくて再びタバコを手に取るという悪循環が繰り返されるようになります。これをニコチン依存症と言いますが、依存度に関してはアルコールや薬物(覚せい剤)よりも高いとも言われています。このようなことから、本人の意思だけで解決するのは難しく、医師のサポートやアドバイスが必要となるのです。

禁煙治療は条件を満たせば保険適用

なお禁煙治療は、保険適用されることがあります。初回の診察時に医師がある一定の基準を満たしていると判断されると、禁煙治療を保険適用で受けられるようになります。満たしていないという場合でも、自費診療(治療費が全額自己負担)とはなりますが、同様の治療内容が受けられます。基準とされる具体的な内容は以下の通りです。要件を満たしていると判定されると5回の通院と12週間の禁煙治療が始まります。

  1. 【1】ニコチン依存症に係るスクリーニングテスト(TDS)で5点以上の方
  2. 【2】35歳以上の方であれば、ブリンクマン指数(=1日の喫煙本数×喫煙年数)が200以上ある
  3. 【3】直ちに禁煙されていることを希望している方
  4. 【4】「禁煙治療のための標準手順書」に則った禁煙治療について説明を受け、当該治療を受けることを文書により同意された方

禁煙補助薬について

禁煙治療が必要な方には禁煙補助薬を処方いたします。種類としては、貼付薬のニコチンパッチ(ニコチネルTTS)と服用タイプのバレニクリン(チャンピックス)がありますが、後者に関しては現在も出荷停止が続いている状態なので、現時点ではニコチンパッチのみの処方となります。

ニコチンパッチはニコチン成分が含まれている貼付薬で、肌に貼り付けることで皮膚からニコチンを吸収することになります。これによってタバコを吸わなくてもニコチンによる禁断症状が抑えられるようになります。治療期間中は同パッチを貼り続けますが含有量を徐々に減らしていき、最終的には何も貼らない状態になります。使用中は起床時にニコチンパッチを貼って、夜寝る前まで貼り続けます。そのため、毎日同じ部位だと皮膚がただれてしまいますので、毎日違う位置に貼るようにしてください。

禁煙治療の流れ

先にも述べましたが、保険診療による禁煙治療は12週間の期間で行われ、5回の通院が必要となります。それ以上の期間(13週目以降)も同治療が必要となれば保険適用外(全額自己負担)となります。5回の通院時に行われる診療内容等は以下の通りです。

初回の診療
保険適用での禁煙治療に該当するか、禁煙する意思の有無、喫煙の状況の確認などをしていきます。禁煙の開始日を決め、禁煙誓約書に署名をします。呼気中の一酸化炭素濃度の測定、禁煙治療をするにあたっての医師からのアドバイス、禁煙補助薬の処方もいたします。
2回目の通院
初回の診察日の2週間後にあたる日が2回目の受診となります。禁煙治療を始めてからこれまでに関する問診、呼気中の一酸化炭素濃度の測定、医師から禁煙に関するアドバイス等を受けます。また禁煙補助薬の追加処方も受けます。
3回目、4回目の通院
さらに2週間の間隔を空け、初回の診察から4週間後が3回目の通院です。診察内容は2回目と同じですが、禁断症状の有無などもみていきます。3回目の通院からさらに4週間後(初回診察日から8週間後)が4回目の通院となります。内容は3回目と同様です。ニコチンパッチの治療では禁煙開始後の最初の4週間、次の2週間、さらに次の2週間と同パッチに含まれるニコチンの量は減っていき、9週目以降は何も貼らない状態になります。
5回目(最後)の通院
最初の診察日から12週間後が5回目の通院となります。呼気中の一酸化炭素濃度の測定、医師から禁煙のアドバイス等を受けますが、禁煙が成功していると医師が判断すれば治療は終了です。また12週目以降も治療が必要とあれば、その後は保険適用外となりますが継続することもあります。